それぞれの物語

写真は2017年、尾道。地元の方が案内をしてくれた。

いつか車でどこかへ向かっていたとき、日が暮れて光っている周りの車をみていたら気づいたことがある。この箱ひとつひとつに乗っているそれぞれの人間の数だけ物語があるんだなということ。みんな何かを考えて生きていて、感情があって、嫌なことも嬉しいことも経験しているんだってこと。当たり前のことなのだけれどそれまでは自分の人生に手一杯で周りを見る余裕が全くなかった。ゲームでNPCがプレーヤーのいるときにだけ活動するように、私の見えていない範囲の世界では物事がとまっているのだと勘違いしていたのかもしれない。笑えないくらい自己中心的過ぎる。私が自分の物語を歩んでいるのと同じように、車でほんの一瞬すれ違っただけの人にも物語がある。

人生が終わったあとにエンドロールが流れるとしたら、私はいったい何人の人生に登場するのだろうか。ちょい役でも誰かの人生にいられたのなら嬉しい。